JAFPA NEWS(会報)

JAFPA NEWS Vol57

平成20年度観察山行予定地 中央アルプス千畳敷「お花畑を行く」
高山植物フォトコンテスト最優秀賞「イワザクラ」海野淑子(府中市)

設立20周年(2009年)を迎えるにあたって

関西支部長 山角郁男

昭和63年(1988年)2月9日(火)午後6時~9時、山梨県庁前の合同タクシー2F 会議室に於て、第1回高山植物保護協会設立準備会が開催された。出席者は13名であった。

出席者の中には、現会長 白.史朗、事務局長 高橋正夫、理事 辻 一幸、塩沢久仙、各氏のお名前がみえる。この後、平成元年(1989年)5月17日(水)まで前後10回に亘る協議を経て、ようやく平成元年(1989年)6月4日(日)、山梨県北巨摩郡高根町清里(現北杜市)(財)キープ協会において設立総会が開催され、現在にいたっている。

 

2009年には設立20周年を迎えるのである。設立当初の目的は不法採取、盗掘、盗採など人為的な被害から高山植物を護ろうとするのが主なものであった。しかしこの僅か20年の間に高山植物の生育環境は勿論、広く地球全体の自然環境が想像を超える速さで悪化の一途を辿ってきた。

いまや高山植物はいうまでも無く人類の生存さえ危ぶまれる事態が迫りつつあるともいえる。尤も、46億年の歴史を持つ「地球の気候変動の枠組みの中に入る現象に過ぎない」とし【地球温暖化は本当か】を問いかける学者も存在し、書籍も店頭に並んではいる。

気象、気候の学者でも専門家でもないが、地球の歴史からすると生物の発生、人類の誕生なんて一瞬の出来事に過ぎない。それにしては異常が通常化するスピードが速すぎはしないか?と素人なりに考え込んでしまう。日本列島はもはや温帯ではなく亜熱帯に位置するのではないか? 本気でそんなことを考えてしまう。

少なくとも我々の生きたこの時代を未来の知的生命体に「人類という愚かな生き物が栄えた時代」と記録されるようなことは絶対に避けなければならない。

協会本来の目的から逸脱しているとの謗りを覚悟で述べるなら【高山植物保護活動を通して地球環境を護る】を前提に大きくシフトする契機としなければ・・・もはや高山植物を護ることは到底不可能であると断言する。


設立20年を迎えターニングポイントに直面していることは確かである。


NPO法人 日本高山植物保護協会平成20年度 通常総会を開催

平成20年5月31日(土)、東京都千代田区の都市センターホテルで開催されました。

総会に先立ち、先ず理事会が開催されました。

理事40名中30名(内委任状提出者16名)の出席のもと、総会提出案件の審議や、今後の活動方針・運営方針が議論されました。

総会は、全国から55人(会員総数1367人中委任状提出者641人)の会員が出席し、フォトコンテスト受賞作品が展示された会場で開催されました。 白.会長は、設立以来20年、ふた昔たった。目に見えるものは何もない。そこにこの仕事の難しさがある。小さな植物を守れなくて何が人間か?と述べられました。

次に、ご来賓の紹介とごあいさつをいただきました。ご来賓は、環境省から野生生物専門官の北橋義明様。関東地方環境事務所から自然保護官の千葉康人様。山梨県知事代理として山梨県森林環境部次長の長山勝典様でした。

総会議事は、総会資料のとおり承認され、総会決議を大内京子会員の朗読により提案、採択され終了しました。 続いて、平成19年度フォトコンテストの入賞者の表彰と記念講演がありました。 (前田記)


平成20年度 高山植物観光山行を実施

高山植物観察山行の実施場所については、本年度から各支部がエリアとする地域の中から選定し、支部のご協力をいただきながら実施していくという考え方もあって平成20年度は、伊那谷支部にご協力をお願いし、7月28~29日に中央アルプスの千畳敷及び極楽平周辺において、22名が参加し実施されました。以下は参加者からの報告です。

観察山行を終えて

事務局長 高橋正夫

7月28日の初日の天候は思わしくなかったが、菅の台バスセンターに集合し、バスでしらび平へ、しらび平から駒ヶ岳ロープウェイで模高2611mの千畳敷に到着。

現地は、濃霧に包まれ、風もあり、今日予定した千畳敷の花の観察が危ぶまれたが、午後4時から1時間かけて実施することが出来た。

 

研修会は午後5時から実施。講師は、伊那谷支部長の片桐勝彦氏で、「中央アルプスの自然と環境保全活動」というテーマで、パソコンに編集した画面を見ながらの研修であった。その内容は次の通りであった。

中央アルプスのこの地域は県立自然公園の特別地域となっており、長野県自然公園条例、森林法、長野県文化財保護条例、更には長野県希少野生動植物保護条例などで、高山植物等の保護対策がとられている。このため保護対策の実践活動としては、

  1. 高山植物保護啓発とゴミ持ち帰りキャンペーン
  2. 高山植物保護指導・注意
  3. 保護ロープ、立ち入り禁止プレートの設置
  4. 高山植物生育状況調査
  5. 植生復元活動(中部森林管理局)への参加、協力

など、グリーンキャンペーンの名の下に、きめ細かな活動がシーズンを通して展開されており、多大な成果を挙げているとのことであった。 また、この地域に咲く高山植物についても解説していただいた。

6時30分からは、ホテルの食堂で夕食交流会を実施。

夕食を囲みながら参加者の自己紹介を始め、いろいろな話が披露され楽しいひと時となった。

7月29日天気は小雨と濃霧で視界は無く、天候の回復を待つ以外には無いと判断し、出発時間を30分遅くした。 それでも状況は改善されなかったが、全員雨具をつけて出発。

極楽平の稜線までの登山道の両脇と稜線上を島田娘の頭までを観察路とした。

良く整備された登山道の両側にロープが張られ、立ち入り禁止の標識が設置されており、研修事項を現場で確かめながら登る。

暫く登ると天候が急速に回復し、伊那前岳や宝剣岳の雄姿が望めるようになった。この登山道の両側には、各種の花々が咲き乱れ、解説役の片桐支部長と井川事務局員によって分りやすく面白い説明があり、参加者は熱心に耳を傾けていた。

登下降の間、ロープ内に入る不心得者もいたが、参加者が注意するなど早速実践活動に取り組む場面もあった。 なお、ロープウェイの中や観察山行中、中央アルプス観光㈱から高山植物保護の呼びかけが再三にわたりあり、大変感銘を受けた。



中央アルプスには、年間に咲く花が、主なものだけでも100種にも及ぶとのことで、観察山行には極めて適した場所であるといえる。 今回の観察山行の計画から、実施にいたるまで、片桐支部長の多大なご尽力と中央アルプス観光㈱のご協力により、滞りなく無く終了できたことに感謝申しあげたい。


ホームページを見た小学生の質問への回答

今年7月に宮城県の小学校5年生の女子児童から「ホームページを見ましたが、今少し知りたいことがありますので、おたずねします。」とのお手紙をいただきました。  以下は質問に対して回答したものです。

「なぜ、高山植物はとってきてはいけないのか。」

高山植物に限りませんが、人間は美しいものに出会うとほとんどの人が、それを自分のものにしたいと思うのではないでしょうか。山に咲く高山植物についてもそうだと思います。美しい花を見て欲しくなり、一輪くらい取ってもこんなにたくさん咲いているのだから大丈夫だろうと思うものです。しかし、そう思った人が100人いたら、1,000人いたら、1 0,000人いたらどうなるでしょうか。今、花の美しい山には、年間何十万人もの人が登っています。美しい花は、あっという間になくなってしまうのではないでしょうか。

特に、高山植物は、ひどく厳しい気象条件や環境の中に生育しているために、その希少価値もあります。このため、昭和50年頃には、高山植物の盗掘が各地で発生し、美しい花を山から取ってきて、それを売る商売を始めるような人もいて、高山植物は絶滅の危機に追い込まれました。

日本高山植物保護協会は、このような状況が続けば高山植物は絶滅してしまうのではないかと危機感を持った人たちが集まり、平成元年に設立したものですが、この設立前から、国や各地方自治体などへ高山植物保護のための条例制定などを働きかけてきました。

このような運動によって、国や地方自治体が法律や条令で規制し保護してきたことと、国民の間にも高山植物を保護しようとの意識が高まって盗掘などがなくなってきたために、今も山に行けば、誰でも美しい花に出合うことができるのだと思います。

高山に咲く花は、高山に行って見るのが最も美しいのではないでしょうか。取りたいと思う気持ちを我慢して、何十年後、何百年後においても、私たちの子孫が高山に行けば美しい花に出会える環境を、みんなで協力して残したいと思いませんか。

 


第2の「高山植物を自分で育てられないか。」

絶対に育てられないということは無いと思いますが、高山植物は、氷河期時代からの遺存(生存してきた)植物で高山の厳しい環境の中で生育してきていますので、自分で育てることはたいへん難しいのではないでしょうか。ですから、前にも述べましたが、希少価値が出るのだと思いますし、そのような厳しい環境の中で生育したために、その姿かたちも可憐で美しいのではないでしょうか。

努力して山に登って高山植物に出会うから、その感激も一層大きいのではないでしょうか。 ご参考までに、高山植物に関する資料を同封しますので、お友達にも見せてあげてください。


珍しい野生植物一口メモ[ムラサキ(ムラサキ科)]

ツクモグサ(キンポウゲ科)
ムラサキ(ムラサキ科)

高さ1m弱位の多年草。葉は互生し、全体に白い毛が多い。花は白色で4~5mm、6~7月に高原や日当たりの良い林の緑に生育する。

昔は日本の各地にあったが、紫色の染料として乱獲や野山の開発により、今では、希にしか見られない。根は太く、シコニンという紫色の色素を含み、古来はムラサキで染めあげた衣は皇族や公家、最上級官位の人だけ許されていた。

今でも日本で唯一、岩手県盛岡市に草紫堂という染物店があり、紫根染と茜染をやっています。 ムラサキは栽培がむずかしく、中国から輸入しているとの事でした。

興味を持ったら訪ねて見て下さい。(文と写真:佐野璋司)



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