JAFPA NEWS(会報)

JAFPA NEWS Vol58

写真提供:南アルプス北沢駒仙小屋 内藤 忠 氏
写真提供:南アルプス北沢駒仙小屋 内藤 忠 氏

地球自然環境存続の可能性

会長 白籏史朗

私が初めて地球資源・自然環境に関して発言したのは、いまを去る46年の昔である。その時点から私はことあるごとに、このことに言及してきた。しかし、高度成長時代からバブル破裂が何度も繰り返されてきたにも拘わらず、人間は自然環境問題にまったく無関心だったといってよい。近年になって、ようやく学者が騒ぎ、一般人も無責任にあれこれ云うようになった。

私が山に登ることを覚え、しだいに山一自然の成立・経過・植物を含めた生物を理解することが深くなればなるほど、このまま徒らに文明の発達による自然破壊が進めば、地球は必然的に死滅し、人類の未来も消滅すると本能が教えてくれたのである。現在、私が危惧したさまざまのことが、私たち人間の前に大きな問題を投げかけているが、それに対するに私たちは余りにも無力である。

きれいだ、美しい、可愛いというだけで欲望に負けて高山植物を不法に採取・盗掘する人、ただ単に動物愛護を口にし、地球上の限りある資源と生物のバランスを考えない人のため、本来は平地に棲息するはずのニホンジカが気候温暖化につれて高山に登って高山植物を皆食し、ニホンザルはライチョウのヒナを捕食する。北海道や尾瀬、そして南アルプスの貴重な植物はトリカブトやバイケイソウなどの毒草までが草刈機で刈ったように皆食されてしまった。ライチョウの増殖、高山お花畑の復元はほとんど不可能と思えるが、私たちはこれに対しても、第一歩から取り組まなければならない。

このかけがえのない地球を私たちの時代に終らせることのないよう、年の始めにあたって、心新たにすべての人間にアピールしたいと思うのである。


平成20年度 指導者研修会実施

成20年度の指導者研修会は、平成20年9月6.7の両日、伊豆大島において実施されました。観察場所は三原山及び二子山で19名が参加されました。  以下は、参加者からの報告です。

指導者研修会を終えて

事務局 中村光吉

先ず、講師とガイドを受けてくださった小川さん、佐々木さん、中林さんに厚くお礼を申し上げます。私たちの為、登山道整備や様々な心遣い、参加された方たち全員も同じ気持ちだと思います。

全体的には少し花期がずれていたため、夏エビネ等の花は見ることができませんでしたが、シュスランの仲間は道のいたるところで見られ、カゴメラン等と同じところで咲いているのも見ました。全体的に未だ豊かな自然がいたる所にありました。

私はナンバンギセルの群生や、ツチアケビの実が同じところに生えていたのもあり、富士山周辺とは生態が違う事に驚きました。富士山で見るのは、たいがいススキの中で、それも3本位のものです。私たちの大島で見たナンバンギセルは15本.20本位同じところに生えており、興味深いことにほとんど同じ線上で木の根か、土中の何かの共生菌の存在を伺わせ、富士山周辺とはまた別の共生や林の形成を見ました。

また、本州との距離を考えると西から東への偏西風では種子の飛散は考えづらく、やはり台風によるものだろうかと?いろいろ思いました。又、ツチアケビの果実のあの色は何の為だろうかと以前より思っていましたが、大島で見た物は近くの木の股の上に数個乗っかって、鳥がついばんだ形跡が見て取れました。明らかに何かに運んで貰うための色と形態とも見えました。ツチアケビは本ではナラタケが共生菌とありましたが、タブノキやシロダモの林にあってもそうなのかな?など、本州とは別の方向への適応を知ることもできました。

コースの選択もよく、行動中他の人々やグループとはほとんど会わず、観光地の大島というイメージはありません。以前八丈島も歩きましたが、大島の方がラン科植物は多様な印象を受けました。

本州の高山植物の分布等を考えるのにも、これらの島も今後、会の研修会等に入れて行きたいと思っています。しかし現状では、夏エビネも数個体となってしまっています。

東京都でありながら、島の人々の植物保全の意識は低く小川さんたちの苦労は大変です。私たちも、今後少しでも問題を共有していけたらと思っています。JAFPAの会員で大島に行かれる方は、ぜひ小川さんたちを訪ねていただければと思います。


指導者研修会に参加して

富士市 鈴木文夫

JAFPAに入会して間もない私ですが、7月の中央アルプスの高山植物観察山行に続き、今回の伊豆大島で行われた指導者研修会に参加しました。

今年の指導者研修会は、山でなく伊豆大島と案内があったとき、無知な私は何故?伊豆大島なのか?伊豆大島は「冬の椿」が有名なのにと正直思いました。最近は絶滅危惧種の花を求めて、あっちこっちの山に登っていたので不思議に思いました。いったいどんな花達に逢えるのだろうか、期待に胸を膨らませて、いざ伊豆大島へ!熱海港からベタ凪ぎの海上を高速船で一路、元町港へ向かう。元町港では大島在住の会員で今回の講師・小川先生、中林さん、佐々木さんに出迎えて頂きホテルのバスにて「大島温泉ホテル」に無事到着。早々に身支度を整えて、いざ出発!

ホテル周辺には匂いのさわやかな白花のセンニンソウ(有毒)が綺麗に咲き乱れていて気持ちがいい。まずはカルデラ内の砂漠の歩行、火山(マグマ)の影響なのか非常に暑い。しかし、不思議である。こんな荒涼たる砂漠の暑い環境の中でも、アシタバの花、ハチジョウイタドリの花(白、紅)が見事に咲いているではないか。自然の不思議さに改めて感動する。噴気口のある岩稜帯を通って涼しい白石山の峠へ向かう。白石山での昼食(お弁当が美味かった)後、双子山に向い途中からジャングル帯に入った。事前にマムシが多いので長靴の方が良い、との連絡を頂いてあったためビクビクしながら道なき道を突入。なる程!マムシがいそうなジャングルだ。頭上の木の枝を掻き分けながら、足元のマムシにも注意しながら、足の速い小川さん、中林さん、佐々木さんに必死に付いていく。ジャングルの中では道なき道を歩き、シュスラン、ハチジョウギボウシ、ナンバンギセル、ツチアケビ等々、他にも珍しい種々の花に出会うことが出来ました。ジャングルを抜けると、花期の長いガクアジサイやラセイタタマアジサイの蕾.咲き始め.開花の状態までが良く観察でき勉強になりました。

 ホテルでは新鮮な魚介の「椿フォンデュ」を大変美味しく頂き、また、疲れた身体を癒やしてくれた露天風呂には3回も入ってしまいました。冒頭に書きました「何故?」が今回の研修会で完全に払拭されました。今後も、観察山行や研修会に積極的に参加して見聞を広めて行きたいと思っています。最後に大島在住の会員で講師の小川先生、中林さん、佐々木さんをはじめ、事務局スタッフの皆様方には大変お世話になりました。感謝を申し上げます。


会員からの便り

山野草保護 私の出来ること

日高市 浅原 勝

私は平成二十年七月に入会しました。イワザクラの調査で三ツ峠山荘の中村さん、富士の佐野さんにお世話になり、日本高山植物保護協会の存在を知り入会しました。

私の住んでいる場所は埼玉県日高市、丘陵地帯を切り開いた新興住宅地の背後に多峯主山(とうのすやま)271メートルがあります。この山と峰続きの天覧山は地元市民および大都会東京の手軽なハイキングコースとなっています。平成十八年に六十歳で仕事を辞め、山歩きを楽しんでいました。この自宅近くの多峰主山・天覧山はあまり登ることはなく、ただ単なる山に登るトレーニングの場でした。昨年の十月人間ドックで脂肪肝を指摘され、運動療法の目的で毎日のようにこの多峯主山に登り出しました。春になり色々な花が咲き、身近な山の山野草の多さ、美しさに驚かされました。そして記録する意味もあり花の写真を撮り始めました。ところが、目立つ花、数が少ない貴重な花が次の日に無くなっていることがありました。盗掘です。悲しいと言うか、悔しいと言うか、複雑な心境でした。多峯主山でよく会う人達に盗掘の話をすると「そうなんだよね」「仕方が無い」「注意出来ない」というあきらめムードの否定的な答えしか返って来ませんでした。盗掘が度重なると悔しい、何とかならないか、何か自分に出来ないか、出来ることはないかを考えました。

最初にやったことは盗られた花(ヤマユリ)の写真を入れた山野草保護のパネルを登山口と多峯主山の山頂に掲示しました。このパネルの掲示には勇気がいりました。こんな内容でよいのか、こんなパネルを作って捨てられはしないか、無視されるのではと、そして私はこの山の山頂のパネルを読んでくれる人に「このパネルは私が作りました」と声をかけることに心がけました。以前はあまり人と積極的に話すことはありませんでした。同志、監視の目を増やしたかったのです。

私の保護のパネルを読んだ人が、「知り合いがヤマユリを抱えるほど採って、知人に配って自慢していた。それを私は良くないことだと注意した」と話をしてくれたました。この話を聞いてうれしかったです。山道の持ち主、管理者である飯能市にもパネルを取り付けたことを届け出、保護を訴えました。行政が簡単に動かない、動けないことは分かっているが、黙っていてはなお動かないと思い行政に出向いたのです。

多峯主山で保護の話をしているとただ単に「山野草を守ろう」とスローガンだけ並べてもだめだと気がつきました。これは選挙でスローガンを連呼するだけではだめと同じことです。最初作ったパネルが汚れてきたので「なぜ」に訴える為に新たに内容を書き換えました。山野の素朴な美しさに惹かれる。そして花を介した昆虫の営みに感動する。それが山野草を守りたい行動の原点です。私に出来ることはささやかです。少しでも多くの同志を集めたい。一人でも多くの監視の目を増やしたい。これが山野草保護の私に出来ることです。


高山植物保護シンポジウムを計画

標高2500m以上の高山帯や、石灰岩・蛇紋岩が分布する特殊な地域には、分布の限られた貴重な植物が数多く生息しています。一方、里山にはかつて身近にみられた植物が急速に減りつつあります。これらの多くは、氷期から現在にかけての温暖化、里山利用の衰退などの環境変化によって、生息域を狭められた遺存植物です。最近では、シカの食害が問題となっています。今回のシンポジウムでは、これらの野生植物の現状と重要性を明らかにし、その保護の対策を考えます。

主催 NPO法人 日本高山植物保護協会 伊那谷自然友の会
共催 長野県下伊那地方事務所
飯田市美術博物館
日時 2009年3月14日
午後1時30分~午後5時
会場 長野県下伊那地方事務所 講堂(3階)
住所 〒395-0034 飯田市追手町2-678
電話 0265-23-1111
内容 1.基調講演
タイトル未定 (1時間ほど)
白籏史朗氏(山岳写真家NPO法人 日本高山植物保護協会会長)
2.パネルディスカッション
「高山植物・希少野生植物の現状と保護」

パネリスト
片桐勝彦氏( NPO法人 日本高山植物保護協会伊那谷支部長)
小林正明氏(伊那谷自然友の会会長)
平瀬長安氏(三伏峠小屋)
宮澤泰子氏(環境省 南アルプス自然保護官)

コメンティター
白籏史朗氏 コーディネーター
北城節雄氏(伊那谷自然友の会)

高山植物一口メモ[マイヅルソウ(ゆり科)舞鶴草]

マイヅルソウ(ゆり科)舞鶴草
マイヅルソウ(ゆり科)舞鶴草

北海道、東北等、北方の茎葉は、8~15cmで広卵形。本州西南から四国、九州では、狭卵形で3~4cmと小型になり、とりわけ、屋久島の宮の浦岳では、1cmにも満たないほど、小さくなるようです。

秋も深まった山路を行くと、ふかふかの林床に、真紅のルビーをちりばめたような、美しい色のマイヅルソウの実を、みつけることが出来ます。初夏には、命名の由来になったという空を舞う鶴が、翼を広げたような美しい葉に、白い小花がこぼれるように咲き、群生すると、緑が深くなった林床にそこだけ、光が落ちたような仄かな明かるさをもたらします。山路でこの花をみつけると、いとおしく、嬉しく、やさしい気分になれるものです。(文と写真 大内京子)


フォトコンテストの募集

応募作品の裏面に、花の名前、撮影場所と年月日、氏名、連絡先、会員番号を記載してください。

入賞者には盾と賞金を授与するとともに、情報紙とホームページで紹介します。
応募作品は返却できませんので、ご了承ください。(審査:白籏史朗氏)


皆様からのお便りを募集しております

情報誌JAFPAへ掲載する会員の皆様からの便り「会員からの便り」を募集しています。

文字数は、500字程度で、写真もありましたら一緒にお送りください。「便り」には、会員番号、氏名、住所を必ず記載してください。なお、応募いただいた作品、写真はお返しできませんので、ご了承ください。

このページのトップに戻る