JAFPANEWS(会報)

JAFPANEWS Vol.64

写真提供 内藤 忠氏
写真提供 内藤 忠氏

新年のことば

会長白簱 史朗

JAFPAの会員の皆さん方、明けましてお目出度うございます。皆さんつつがなくお過ごしのことと拝し、お慶び申し上げます。

昨年は長雨、梅雨期は雨なしの低温、それに引きかえ夏の間は記録的な猛暑つづきで大変な年だったと思います。平地の畑作においても種子ものの実がつかず、農家を嘆かせましたが、山の方でも同様に高山植物に種子ができなかったのではないか、と心配して居ります。

思えば高山植物にはずっと受難の運命がつきまとっています。まず人災によるもの、次いで近年はニホンジカによる食害がいちじるしく、各地で止どまることを知りません。それに異常天候ときては、高山植物ならずとも天をあおぐことしかできません。

ですが、ようやく環境省も事態を重く見るようになり、ほんの少しですがシカ対策を考えるようになったことは朗報です。シカが増え、いたるところのお花畑を食い荒し、ブナやナラ、クリなどを食べてしまうため、イノシシやクマまでが下界に出没するようになったと小生は思いますが、お上の方ではそうは考えず、動物の数が増えたためといって何の対策もしなかったのですが、ようやく若干ながらシカ対策がその端緒についたことで、少しは好転するのではないかと思います。

ですが、油断は禁もつです。環境省の対策が更に充実したものにならない限り、JAFPAの目的とシカ食害とはいたちごっこに終始します。

私たちも心を新たにして、これからも高山植物保護の大前提をかかげて進まねばなりません。皆さんのさらなるご協力を心からお願い申し上げ、新年のごあいさつに代えます。


荒川岳の新たな高山植物保護活動はじまる

環境省関東地方環境事務所 南アルプス自然保護官事務所
上席自然保護官 宮澤 素子

10月2日~4日に、環境省事業、東海フォレスト受託、南アルプス高山植物保護ボランティアネットワークの協力をいただいて、荒川岳で防鹿柵の試験設置が行われました。

南アルプスにおける環境省の防鹿柵としては、仙丈ヶ岳(長野県)、北岳(山梨県)に続いての、静岡県での設置です。

荒川岳の南斜面はまだシカの影響をうけておらず、南アルプスのお花畑が良い状態で残っている最後の砦ともいえる場所です。

ここには、かつて氷河が存在したことを示す典型的なカール地形が見られます。そして、ムカゴトラノオなどの氷期に分布を広げた植物の子孫である周北極植物や絶滅危惧種などが生育しています。また、長い年月をかけて、同じカール内でも場所毎に異なる環境に応じて、環境毎に異なる植物群が形成されています。つまりここは、氷河期以降の長い歳月の歴史を物語る、学術的にも貴重な場所といえます。

ところが、平成21年度の調査で、この荒川岳カールでも、シカの食痕などが確認されました。

このため、荒川岳カール内の植生を保護するための防鹿柵設置を開始しました。

現場は、長時間登山の後にカール壁を降りてやっとたどりつく大変な場所でしたが、ボランティア十数名の精力的なご協力を得、総勢二十名程度で作業が行われました。

柵は仙丈ヶ岳で使用している背の高いネットタイプと、北岳の稜線等で使用している背の低いカゴタイプの2種類を使用。静岡側では新しいタイプで、施工指導者の説明のもと精力的に作業が行われ、設置した柵はネットタイプ延長約50m、カゴタイプ延長約32mです。

この柵から、荒川岳の高山植物の新たな保護活動がスタートします。


平成22年度 高山植物保護キャンペーン実施

事務局 小田切 澄子

快晴に恵まれた11月3日の文化の日、茅ヶ岳において「高山植物保護キャンペーン」を実施しました。

茅ヶ岳は、「日本100名山」の著者として有名な深田久弥さん終焉の地として有名となり、登山口には広い駐車場に水洗トイレも整備され、大勢の登山者が訪れています。この日も7時20分に駐車場に着くと既に20台以上が駐車、直ちに「キャンペーン実施中」の幟を立てて、水解性ティッシュペーパーや入会案内を配布しながら、高山植物保護活動への協力を呼びかけました。

その後も、次々と自家用車やマイクロバス、大型バスも入ってきて、広い駐車場も満杯となり、韮崎市観光協会の方が駐車場の北側の空き地に臨時駐車場を設けて誘導を始めるほどでした。また、県外ナンバーの車が多いのには驚きました。

駐車場でのキャンペーンは1時間ほどで終え、山頂へ向かいました。

山頂は大勢の人で賑わっていて、昼食時ではありましたがキャンペーン活動を再開し高山植物保護活動への理解を求めたところ、登山者の方から「ゴミも落ちていなくてきれいな山ですね。」と声をかけられ、継続的なキャンペーンの必要性を感じました。山頂で見たきれいな青空のように清々しい気持ちで、この日のキャンペーン活動を終了しました。


平成22年度高山植物フォトコンテスト作品募集

応募作品の裏面に、花の名前、撮影場所と年月日、氏名、連絡先、会員番号を記載してください。

作品の大きさ 四つ切
募集締め切り 平成22年3月末日
表彰式 通常総会の当日
審査員 白簱史朗氏(NPO法人 日本高山植物保護協会会長)
 

入賞者には盾と賞金を授与するとともに、情報誌とホームページで紹介します。応募作品は返却できませんので、予めご了承ください。

 

高山植物一口メモ[キンポウゲ科 ミスミソウ属]

オオミスミソウ(キンポウゲ科)
オオミスミソウ(キンポウゲ科)

春の息吹が感じられる頃になると新潟から「雪割草便り」が届きます。
この雪割草は、本来のサクラソウ科のユキワリソウではなく、雪の中で開花するので別名をユキワリソウと呼ばれているキンポウゲ科ミスミソウ属のスハマソウ(洲浜草−葉の先端があまり尖らない)とミスミソウ(三角草)です。
新潟にはオオミスミソウ(全体に大きく、葉の幅が広く先は鈍い)の群生地があちこちにあります。太平洋側のミスミソウは白色の花が多く、日本海側では紅色・紫色、またその覆輪と様々な花色と形の花を咲かせます。気温が上がらないと開かないため能登の猿山を訪れた折、早朝であったため、花はまだ開いておらず残念な想いをしました。翌日あの大地震。群生地の被害を心配しましたがもう復活しているでしょうか? (文と写真 海野淑子)


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