JAFPANEWS(会報)

JAFPANEWS Vol.67

御庵沢上流(南アルプス市)にて
御庵沢上流(南アルプス市)にて 写真提供:宮田義之氏

新年への抱負 新しい出発

会長 白簱 史朗

日本高山植物保護協会会員の皆さま、明けましておめでとうございます。

NPO法人日本高山植物保護協会が、南アルプスの麓で孤々の声を挙げて、早くも23年の歳月が経過しました。世界に一属一種、それも日本南アルプスの一角に細々と生き永らえてきたキタダケソウ、この世にも稀な種は、これまでよくぞ永らえたものと、私たちに感嘆の声を思わず挙げさせたほど稀有な生を送ってきたといえます。これはまた、その当時まで、北アルプスや他の山地のように入山も容易でなく、登山道や山小屋の状態も比較にならぬくらい整備されていなかったことが幸いしたのだと思います。しかし、昭和三十年度後半からの第一次登山ブーム、そして、徐々にこの山地へも人の開発の手がのび、それにつれて人びとの訪れが繁くなると共に、南アルプスもおのずと荒廃の度が進んできました。実のところ、私が南アルプスに入り始めたのは、昭和二十年代でしたが、突きつめて考えると、私がその荒廃の先便をつけたのだともいえ、時折り慙愧の念に駆られることがあります。

しかし、謇ノ河原に石を積むような果てしのない繰り返しを続けていた高山植物保護活動も、関係者各位のたゆみない努力と環境省地元職員の方々の協力で、かすかながら光明が見えてきた様な気がします。

ですが、好事魔多しのことわざ通り、近年はニホンジカの異常繁殖による食害が南アルプスのみならず、日本全国の山にひろがってきて私たちを悩ませて居ります。

その対策として、当協会は日本オオカミ協会と提携して、その導入に努力しております。オオカミというと、人はいわれのない恐怖と危惧を抱いて、ただ反対に走ります。そもそも日本の野生界に於ける植物連鎖の最高峰に位置するオオカミを絶滅させた明治政府時代に始まった政策が、この現在の未曽有ともいえる野生生物界の混乱を招いたのであり、同様の政策でその誤りに気付いたアメリカ、カナダやドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国は率先してオオカミを再導入し、着々とそれを成功に導いています。

私たちも出来得る限り早急に、オオカミ再導入を図り、日本の自然界を昔日のように正常な姿に戻したいと決意しました。

どうか、会員の皆様も等しくご賛同頂き、一日も早い自然の復元に力を併せて進もうではありませんか。何卒宜しくお願い申し上げます。


平成23年度 高山植物観察山行を実施

去る7月31日.8月1日の両日、木曽御嶽山(3067m)において、19名が参加し、平成23年度の観察山行が実施されました。以下は参加者からの報告です。

木曽御嶽山観察山行

千葉市 村上 隆

前日木曽福島に入り街を散策しました。

当日、皆様と合流して、マイクロバスで登山口の濁河温泉へ行き、雨の中を出発しました。予定していたルートが通行止となり、熊崎会員の奨めで花の多いこのルートになったとのことでした。途中、珍しいコフタバランなどを見ながら登り、摩利支天が見えて来る頃には雨も上り、岩礫の中に淡紅色のコマクサが咲いていました。

間もなく五の池小屋に到着。濡れた物を乾燥室に干し、新築された部屋に入る。

夕食時、小屋のご主人からコマクサの保護活動について話を聞きました。

昔、コマクサは普通の花で沢山咲いていたが、御嶽百草丸の原料として採取され全滅状態となった。それを一人の人が生涯をかけて復活させたが、その後、盗堀や踏み荒らされて全滅しかけていました。

そこで小屋のご主人達が保護に乗り出し、行政の協力も得て、緑のロープを張って、今の状態まで回復したとの事でした。

その夜は、外は満天の星空、内では酒宴が続き、塩沢さんから高山植物保護の難しさ、特に鹿の食害の防止のための行政との連携の大切さについて話を聞きました。

8月1日は早目の朝食をとり、四の池、継子岳を見て、遠く富士山、乗鞍岳を眺めながら二の池を目指した。

二の池本館の前を通り、覚明堂からの合流点に荷物をデポして頂上へ登る。剣ヶ峰の御嶽神社奥宮に参拝後記念撮影して、下山。

途中の無縁墓地に濃い碧空色のイワギキョウが墓の主をいたわる様に一面に咲いていました。膝の悪い私は下りが全くダメで、宮田さんに励まされながら、やっとロープウェイ飯森高原駅に辿り着きました。斜面にはコバノトンボソウとモーセンゴケが祝福してくれました。

鍛えていないといけない事を痛感!

山梨県西桂町 池田 真人

木曽御嶽山を下山して翌日、両足のふくらはぎが筋肉痛で大変でした。仕事ばかりでなく、日頃からもう少し鍛えていないといけない事を痛感いたしました。

1日目は雷雨の中の登りでしたがゴゼンタチバナやキソチドリ・コフタバランを教えていただきました。

2日目は好天に恵まれ、三の池から摩利支天に登り、賽の河原を通り二の池を抜け剣が峰に登りました。三の池も二の池も思っていたよりも大きく美しく心に残りました。登頂後はひたすら下り、前日の雨で足元がすべり神経を使い、尻餅をつきながらも無事に下山する事が出来ました。ガイドして下さった熊崎さん、スタッフの皆様有難う御座いました。

川合さんを始め塩沢さん、皆様の気力と体力、色々な事を教えて下さる姿勢にただただ感服致しました。

またの山行きを楽しみにしております。


ゴミ持ち帰りキャンペーン実施

「役の行者」は吉野の金峰山(きんぷせん)に蔵王権現を祀り修験道を広めたといわれています。吉野と同じような大岩のある(五丈岩)山に蔵王権現を祀った奥秩父の盟主金峰山(きんぷさん)は甲斐国志では「玉塁」と呼ばれ、この麓を「瑞塁」(神社の周囲をめぐらす垣根の意味)と呼んでいたようですが、いつの間にかお隣の奇岩林立するやまを瑞牆山と呼ぶようになったといわれています。

このような瑞牆山は古くから金峰山の信仰に結びついて修験者の修行の場として登られ、「カンマンボロン」の梵字の言い伝えも残っています。また近年は、深田久弥の『日本百名山』に選定され、アプローチの短縮もあって、たくさんの登山者が訪れるようになりました。
そこで、日本高山植物保護協会では、本年の高山植物保護とゴミの持ち帰りキャンペーンを紅葉が盛りを迎えた10月29日(土)に瑞牆山で実施しました。

当日の朝5時に甲斐市役所に集合した会員及び事務局員が、2台の車に分乗して瑞牆山荘の駐車場に到着したのが6時過ぎではあったが、既に沢山の車が駐車していた。

登山口にキャンペーン用の幕を枝にかけ、用意したポケットティッシュを沢山の登山者に配布しながら高山植物の保護と、ゴミ持ち帰りの協力を呼びかけた。協会発足以来繰り返し行ってきた会員からの便りゴミ持ち帰りキャンペーン実施キャンペーンの効果もあり、当時とは比べ物にならないほど自然保護に対する関心が高まり、大部分の登山者が深い理解を示してくれ「ご苦労さまです」の言葉が返ってきた。

雲ひとつなく紺碧の空に瑞牆山のヤスリ岩が朝日で紅色に光り輝き、黄金色に輝く落葉松の梢の間から美しい姿を見せてくれた。そうしている間にも続々と県内、県外ナンバーの車が登ってきて、駐車場はみるみる一杯になり、路上駐車を余儀なくされる車も多く新たに駐車場の確保を望む声もあった。

やまガール、やまボーイ、家族連れ、シルバー年代等様々な登山者が、カラフルになった登山服を身に纏い元気で山に登っていく。用意した300個のポケットティッシュは1時間半ほどで消化してしまった。

その後見事な紅葉の中、盛りを過ぎて枯れ始めた植物や、針広様々な樹木を観察し、「富士見平」でキャンペーンを終了した。


平成23年度高山植物フォトコンテスト作品募集

応募作品の裏面に、花の名前、撮影場所と年月日、氏名、連絡先、会員番号を記載してください。

作品の大きさ 四つ切
募集締め切り 平成24年3月末日
表彰式 通常総会の当日
審査員 白簱史朗氏(NPO法人 日本高山植物保護協会会長)

入賞者には盾と賞金を授与するとともに、情報誌とホームページで紹介します。応募作品は返却できませんので、予めご了承ください。

高山植物一口メモ[ジョウロウホトトギス(ゆり科)]

ジョウロウホトトギス(ゆり科)

ジョウロウホトトギスは、日本固有で、土佐横倉山で発見された時、花が上品で、しかも美しいので、上﨟(宮中に仕える貴婦人)の美しさにたとえて、命名されたという。高知県と宮崎県に稀産する。他に二種一変種があって、キイジョウロウホトトギス(紀伊半島)。スルガジョウロウホトトギス(静岡県)、その変種がサガミジョウロウホトトギスという。
昨年9月15日、毛無山の溪谷にスルガジョウロウホトトギスを尋ねた。山路をはずれて、小さい流れを三回ほど徒渉すると、目前の岸壁に鮮黄色の美しい花が下垂していた。それは、まだ宮中に上がる前の山家の美しい少女を偲ばせる風情だった。本家のジョウロウホトトギスを是非みてみたいが、何より、絶滅危惧種が、絶滅種にならないようにと祈るばかりである。(文と写真 大内京子)


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