JAFPANEWS(会報)

JAFPANEWS Vol.70

北岳の日の出
北岳の日の出 写真提供:塩沢久仙氏

新しき年を迎えて

会長 白簱 史朗

早いもので、平成24 年がアッという間にすぎ、平成25 年の声を聞くことになりました。日本高山植物保護協会 も結成が平成元年でしたから、今年はJAFPA も24 年目の春を迎えたことになります。

さて、この23 年間の過去を振り返ってみますと、私たちのたずさわってきた、絶滅に瀕している日本の高山植 物の保護はどこまで効果をあげたか、ということです。諸外国、ことにアメリカやヨーロッパ諸国の実情に比べて、 日本のこうした活動はまことに人びとの関心が薄く、遅々として進んでいない、といわざるを得ません。ことに最 近ではニホンジカや野猿などの高山への出現がいちじるしく、それへの対策が急務とされながら所轄官庁の対応が 手ぬるく、ほとんど効果をあげていないのが実情です。わずかに地元や数少ないレンジャーがたの努力が目につく 程度といえます。

これに対応するにはオオカミの再導入が叫ばれていますが、グリム童話のフィクションに惑わされている一般人 のいわれない恐怖心のため、遅々として進んでいません。

ある意味では、私たちJAFPA 会員や自然保護の心ある人たちの努力で、これら貴重な高山植物の盗堀盗採は減 ってきていますが、これに代わったのが、これら野生のシカやサルの増加です。

これらの動物の跳梁は高山植物への食害だけでなく、寄生虫を体毛から駆除するための草原のヌタ化、さらにダニ、 ヒルの媒介によって、各地でこれらの寄生吸血虫が増殖し、愉しいはずの山野跋渉やハイキングにも多大の支障が 生じています。また、野猿は3000 メートルの高山地帯にまで出没し、高山植物の花や実を食し、ライチョウの仔 まで追って捕食しているのが実情です。

私たちは全力をあげ、これらに対しているわけですが、現実にはただ追い払うだけのことしかできません。やは りこれには国の本腰入れての対策以外にはないのです。

しかし、関係官庁や地方県庁の自然対策は全くといってよいほど、これに興味を示さないのです。

といっても、私たちもいつまでも手をこまねいているだけでは、ことは解決しません。今年こそはもっと強力な 行動によって惰眠をむさぼる所轄官庁の目を覚ます必要があります。

どうかJAFPA の会員の皆さん、今年こそ心を新たにして、この小さな命、高山植物を守って行こうではありま せんか。


平成24年度 高山植物観察山行を実施

去る8月5~7日、南アルプス千枚岳、烏森山周辺において、24 名が参加して平成24 年度の観察山 行が実施されました。この度の観察山行は、㈱東海フォレスト様の全面的なご協力により実施できたも のでありますが、多くの参加者から感謝のことばが寄せられました。以下は、参加者からの報告です。

高山植物観察山行きに参加して

静岡県藤枝市 藪崎 央而

8月5日から7日に開催した「高山植物観察山行」に参加した。千枚岳は5年ぶりであった。

一日目は、ベテランガイドの案内で一気に千枚小屋まで登り小休憩の後、早速千枚岳の植物観察に向かった。生憎の曇空であったが、登山道沿いにはゴゼンタチバナ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイなど白に黄色にと可憐に咲く色々な高山植物たちが出迎えてくれ、ホッとする。

翌日は、千枚岳から丸山への観察登山である。植物たちにとって年々厳しい環境に晒されているのだろうが、シロバナタカネビランジ、タカネマツムシソウ、イワギキョウ等々多くの花が目を楽しませてくれた。また、出会った登山者から私たちの胸に付けたマークに気づいて「植物保護団体の方ですか」と声をかけられ、「JAFPAです」と返し、活動を知ってもらった。

最終日は、椹島の烏森山。朝の澄んだ空気を吸いながら、豊かな木々の間をゆっくりと登る。ミズナラ、ブナ、コメツガなどの巨木に手を添え見上げる。足元にはギンリョウソウが顔を出しその周りで小さな虫たちが動き回っていた。

晴れ渡った山頂からは、残月が寄り添う聖岳そして赤石、荒川、丸山、千枚と見渡せ、皆から歓声が上がった。

椹島ロッジ支配人様、ガイドの皆さん、ありがとうございました。

高山植物観察山行(千枚岳)

山梨県甲府市 原田 利子

アッと言う間の三日間でした。

8月5日~7日に静岡県の千枚岳と烏森山周辺観察。初日は畑薙第一ダム8時51分集合・現地の東海フォレスト様のご協力を得て、約30名が5台の車に分乗し、椹島ロッジで休憩とり駒鳥駐車場から登り始め千枚小屋に1時半到着。人気の山だけに既に登山者が大勢いて賑やかでした。周辺を散策する人と千枚岳へ行く人がありましたが、私は自信がなく明日に備え周辺を散策し、夕食と素晴らしい夕焼けをみて床に就く。

二日目は4時起床、綺麗な朝焼けを見たり宿から昼食用のおむすびを頂き千枚岳への登山開始。歩き安い道のりも僅かで石ころ多く足下が悪くなるが、高山植物の宝庫に見た事の無い光景が現れてくる。自然界の魅力は別世界、清楚で可憐な姿を過酷な環境の中逞しく生育し険しい岩の間から、堅い土の中からと花々の生命力に驚かされる。登るに連れ幾つかの難所が続き、周りをみる余裕が無く最大の難所が現れる。丸山が見えて来たが急勾配の岩場を降りなければ前に進まない。仲間の励ましやアドバイスにより逆向きになりながら、三点確保で降りる事が出来ホッとする。はい松や石ころの道を歩きながら広々とした丸山到着、周りを散策中に六羽のヒナを連れた雷鳥に出会い微笑ましい姿に難所の辛さも忘れ、おにぎりの味も格別おいしく感じる。又も難所を四苦八苦しながら登ったり下ったりと小屋まで下山する。少し休憩を取った後、車に乗り二日目の宿の椹島ロッジに3時頃到着、ロッジでは白?史朗記念館があり東海フォレスト様がイベントを催し山の様子のスライド鑑賞したり和やかでした。長道中で疲れたせいか明日に備え入浴、食事とアルコールも増し熟睡する。

最終日は4時30分起床、朝食後ラジオ体操し目の前の烏森山周辺観察。歩き安く広葉樹の中を進み頂上からは赤石や聖岳がくっきり見え、二日間の話に花が咲き喉も痛くコジワも増えた様な感じ・・。全員無事に楽しく下山し集合場所の畑薙ダムでお昼頃の解散となる。

全員が無事に楽しい登山が出きたのも東海フォレスト様ご協力のお陰です。長い険しい管理道路の運転から山々のガイド迄と大変だったと思います。私は夫の退職を機に千葉県から自然豊かな甲府に移住を決め5年です。登山歴は一年目ですが今回もお骨折り下さった井川さんの仲間に加えて頂き、ベテラン揃いの皆様のお人柄に惹かれ、最高のお仲間に出会えた事に感謝しています。山の花々が最近では、動物や人間の盗掘に依り絶滅状態になるばかり、棚が取り外され自然界の中で咲く景観を望み、快い登山が出来る様に活動にも参加したいと思いました。二泊三日の初めて山小屋経験が出来ありがとうございました。

観察山行に参加して

静岡県富士市 鈴木 文夫

H24年度JAFPAの観察山行が8月5日~7日南アルプス千枚岳・烏森山周辺に決まり、早々に参加を申し込みました。
以前から東海フォレストの自然塾(会員)で赤石岳・荒川三山を含め、この周辺は何回か訪れているが、この時期の千枚岳の花の百花繚乱の世界は目を見張るものがあり、何回訪れてもいつも感動を覚える。(実は三週間後の8月27~28日の自然塾の千枚岳ツアーにも参加した)

今回は東京から参加の大平氏、中堀さんと3名で8月4日、新幹線の新富士駅で合流して新東名の新富士IC~新静岡ICの高速道路を利用して一路、畑薙第一ダムに向かった。
畑薙第一ダムへは4ルートあるが現在2ルートが豪雨による土砂崩れ災害で一部が不通、一部に通行時間規制があるため、前日の4日に出発して畑薙の赤石温泉・白樺荘に宿泊した。
ここの温泉は硫黄泉で肌がツルツルになり立派な良泉?である、毎回帰りに日帰りの湯として利用してきたが、今回初めて宿泊した。(夕食は鹿肉の刺身で美味しかった)

*

翌日(5日)は畑薙第一ダム臨時駐車場で参加者の皆さんと合流し、自己紹介の後、東海フォレストの手配のデリカ6台に分乗し一路、椹島へ向かった。
林道は雨が少ないためか前が見えない程の砂埃を舞い上げて進んだが、ガイドさんの巧みな運転で無事椹島に到着。
途中、椹島の手前の牛首峠で赤石岳の雄姿をカメラに収め、椹島で早めの昼食と休憩を取り、千枚管理道路を利用して駒鳥駐車場へ、ここから約40分の登りで千枚小屋に到着。
明日の天気を懸念して安定している今日、千枚岳に登頂することが決まり15時に出発。
小屋裏の斜面のお花畑から山頂までの高山植物の花・花・花(花の名前は別記)を堪能しながら約1時間20分程で千枚岳の山頂に到着。
生憎と山頂からは富士山・聖岳・赤石岳・荒川三山等に霧と雲がかかり見ることができなかった。
急ぎ記念撮影をして明日の天気を期待しつつ下山開始、17時に無事小屋に入る。
新装オープンの千枚小屋は立派で明るく気持ちの良い小屋であったが、残念ながら一般宿泊者が多くJAFPAの会員は隣の月光荘に宿泊することになった。
それにしても食事前のビールの美味かったこと、この上もなく美味かった。喉が鳴いていた。
また、夕食前に見た雲間に黄昏ゆく富士山、笊ヶ岳がとても美しかった。

*

翌朝(6日)の御来光は雲のグラデーションが美しく輝き、更に幻想的な富士山の黎明に感動しました。
朝食後の6時過ぎ再度、千枚岳から丸山へ高山植物の観察山行に向かった。
山頂からはチョットガスがかかっていたが悪沢岳・塩見岳を望むことができ皆々感動した。
千枚岳から丸山間は植生が違い、またまたシャッターの連写撮影に興じた。
特にタカネビランジ(シロバナも)、タカネナデシコ、タカネマツムシソウ、タカネコウリンカの群落は見事であった。
そしてイワギキョウもチシマギキョウも見つけた。また突然、恐竜(枯れ木のオブジェ)も現れた。丸山ではライチョウの雛6羽を見た人もいたようである。
千枚岳の高山植物をすっかり堪能して千枚小屋・千枚管理道路経由で椹島に下山。
夕食後、白簱史朗記念館で東海フォレストの武村部長による大井川の歴史「森林伐採・川狩り・鉄砲」について講演を拝聴した。初めて聞く話で大変見聞を広めることが出来ました。
また、ギターを弾きながら二軒小屋の歌を披露していただき、楽しい一時を過ごすことが出来ました。

*

翌朝(7日)朝食後、椹島ロッジ前から烏森山登山を行って、最後に山頂から晴天の上河内岳・聖岳・赤石岳・荒川三山を望むことが出来て、大変有意義な観察山行となりました。
下山後、畑薙第一ダムで解散式を行って無事に帰宅できました。

今回の観察山行の実施に当たりJAFPA本部事務局、静岡支部、東海フォレスト様の多大なご尽力に感謝を申し上げたいと思います。
特に夏山シーズンの最中、貴重なお時間を割いて、私達をガイドして頂いた武村部長、片桐氏、守屋さん、鈴木両氏、川田氏の6名の方々、本当にありがとうございました。


平成24年度高山植物フォトコンテスト作品募集

  • 応募作品の裏面に、花の名前、撮影場所と年月日、氏名、連絡先、会員番号を記載してください。
  • 入賞者には盾と賞金を授与するとともに、情報紙とホームページで紹介します。
  • 応募作品は返却できませんので、ご了承ください。
作品の大きさ 四つ切
募集締め切り 平成25年3月末日
表彰式 通常総会の当日
審査員 白簱史朗氏(NPO法人 日本高山植物保護協会会長)

日本各地の高山植物No.8 中部山岳地方4

タカネツメクサ(ナデシコ科)7~8月
ミヤマツメクサと似ている、ミヤマツメクサの葉脈は3本だがタカネツメクサの葉脈は1本。
タカネナデシコ(ナデシコ科)7~8月
花は花弁の3分の2程度まで裂ける。
タカネビランジ(ナデシコ科)7~8月
草丈の割には花が大きく色も白から紅まで多彩です。南アルプスの特産種です。
タカネマンテマ(ナデシコ科)7~8月
咲いている時は横向きですが、実になると上を向きます。南アルプスの特産種です。

高山植物一口メモ[アツモリソウ・らん科]

アツモリソウ・らん科
アツモリソウ・らん科

亜高山帯の草原にはえる多年生草本で高さ20~40cm、5~6月に茎の頂きに5cm 位の紅紫色から淡紅色の花をひとつ咲かせます。
一度出会ったら忘れられない特徴は、大きな袋状の唇弁でその姿を平家の武将、平敦盛(たいらのあつもり)が金鎧の背に負った母衣(ほろ)に見たてられ、敦盛草と名前がつけられています。
当協会でも特別に保護の対象になっており、三ツ峠、山中湖や他の山での活動報告がされていますが、苦慮しているのが実態です。
三ツ峠においては、三ツ峠ネットワークが組織され、自生地の草原を維持するため笹の抜き取り作業等をしています。
高山植物保護協会員の活動の場として、今年はぜひ参加をし、アツモリソウを見ていただきたいと思います。(文と写真 佐野璋司)


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