JAFPA NEWS(会報)

JAFPA NEWS Vol.72

高山植物フォトコンテスト最優秀賞 「ヤナギラン」
高山植物フォトコンテスト最優秀賞 「ヤナギラン」 海野淑子(東京都府中市)

日本高山植物保護協会の全国展開を

理事 山本 博

日本高山植物保護協会と聞けば、誰しも全国的な基盤に立つ活発な自然保護団体と考えるのが普通でしょう。
しかし、実態はどうでしょうか。協会あげての努力にもかかわらず、発足当時の構想通りに運んでは来なかったと思わざるを得ません。各支部の地道な活動には頭の下がる思いですが、全国展開は遅々として進みませんでした。現在でも全国的な知名度も決して高いとはいえないと思います。しかし、日本高山植物保護協会を名乗る以上、全国展開は常に考えておかねばならないことでしょう。

云うまでもないことですが、一人ひとりの力は弱くても集まれば強い力になります。私たちは全国各地に自然保護活動に打ち込んでいる人や団体が多くあるのを知っています。その力をひろく結集できたら大きな力になるでしょう。そして、日本高山植物保護協会がその中心となって強い求心力を発揮できるならばどんなに素晴らしいことでしょうか。

しかし、考えることは同じでも“この指とまれ”ではものごとは進まないのです。積極的な働きかけが必要です。それには大勢のマンパワー、多大なエネルギー、そして資金も必要でしょう。そしてまた、何処から始めるかも大きな問題です。

高山植物が多い山、登山者が多い山にはたいてい山小屋があり、そこには山や自然を愛し、自然環境の保全に心を砕いてこられた小屋主がおられます。協会には何人もそんな方が会員や連絡員になっていただいています。

また、山小屋には夏の間、診療所が開設されるところがあります。ことに北アルプスには北部に6 箇所、南部に11 箇所、南アルプスでは、昭和大学の北岳診療所1箇所ですが、昭和大学には協会の支部が置かれています。そのほかの山域では富士山や白山にも診療所が開かれます。そのような山小屋や診療施設にも入会していただけないかと思うのです。

それが突破口になるのではないか。しかし、それは私の見果てぬ夢なのでしょうか。


平成25年度 理事会、通常総会を開催

平成25年6月1日(土)、東京都千代田区の都市センターホテルで午前10時から理事会、午後1時30分から通常総会を開催しました。

 理事会は、白籏会長のあいさつの後、関西支部、静岡支部、昭和大学北岳支部の各支部長から支部の活動報告があり、続いて出席者全員が自己紹介を行い、議事に入りました。

議事は白籏会長が議長となり、午後に開催される通常総会への提出議案が審議され、提出議案は原案通り承認されました。なお、議案の審議においては、次のような意見が交わされました。

白簱会長があいさつで、高山植物保護のためのシカ対策にオオカミを活用することが有効であるとの話をしたが、オオカミの活用について環境省はどのように考えているのか。

理解いただくのは、難しい状況にある。

オオカミの導入はシカを間引こうというのが狙いである。シカの間引きには檻の設置も有効である。但し檻の設置については免許が必要で、免許を取得するためには1万円くらいの経費が必要となる。その経費を補助して、檻を活用してはどうか。最近は鉄砲撃ちの人達も高齢化で少なくなった。檻はイノシシ用だがシカも捕獲できると思うので、檻の設置を検討したらどうか。

静岡県では、罠による捕獲が多い。鉄砲は危険なので罠を活用するのがよいのではないか。

等の意見が出され、今後、このような問題についても更に検討を進めることとなりました。

通常総会は、高橋事務局長の司会で進められ、白籏会長が、「高山植物保護協会は平成元年に立ち上げ、25年目になるが、高山植物を守るということがいかに大変であるか、役に立っているのか、何年やっても効果がなく落胆することもあります。しかし、ずっと続けていけば、いずれ深く浸透していくことになるだろうと思います。一生懸命やっていれば無心な花が理解してくれるでしょう。貴重な花が失われ、損なわれたかと思うと悔しく思い、必死にやらざるを得ないし、私も必死にならざるを得ません。富士山が世界遺産に登録されることによって、自然に対して皆さんが新しい気持ちになることを期待しています。言葉なき貴重な花を守っていくことが、心の喜び、そういう気持ちで今後ともよろしくお願いしたい。」との挨拶をされました。

白簱会長のあいさつの後、来賓としてご臨席いただいた関東地方環境事務所野生生物課の自然保護官 坂本真純氏、山梨県知事代理の山梨県森林環境部みどり自然課長の上島達史氏からご祝辞を頂きました。

来賓祝辞の後、議長に日比野静岡支部長が選任され、議事に入りました。

第1号議案(平成24年度事業報告並びに決算報告の承認に関する件)、第2号議案(平成25年度事業計画並びに収支予算案の承認に関する件)が原案通り承認されました。

第3号議案(役員の退任および選任に関する件)では、死去された松本夫理事と佐藤次郎理事が一身上の理由で辞任され、関西支部の尾形訓彦氏、小塚悟史氏が、新たに理事に選任されました。

総会議事終了後、大内京子会員により総会決議案が朗読提案され、満場一致で採択されました。

続いて、恒例となりました高山植物フォトコンテストの入賞者に、白籏会長から盾と賞金が贈られました。

また、記念講演では、環境省生物多様性センター 保全課 木村元先生が「高山植物の未来は~モニタリングサイト1000 の調査成果から~」と題し、ご講演いただきました。


平成25 年度高山植物観察山行を実施

去る6月15日~16日の両日、山梨県三ツ峠山の山頂周辺において12名が参加して、平成25年度の観察山行が実施されました。

このたびの観察山行は、三ツ峠山のアツモリソウなどの生育する草原の多様性を保全するために、テンニン草などの除伐作業などをこの7年間ほど行ってきたことにより、生態系のバランスが回復してきていることをご覧いただくとともに、観察を兼ね、実際に保全作業も体験していただきました。

以下は、参加者からの報告です。

高山植物観察山行に参加して

山梨県 廣瀬恵子

6月15日~16日1泊2日 三ツ峠山の山頂周辺の植物観察と下草刈りのボランティアに参加させていただきました。以前から、アツモリソウを始めとする高山植物の盗掘については聴いておりました。当日は曇りもようで草木がしめっており、岩肌のコケもみずみずしくきつい上り坂も癒されました。山頂までの間、JAFPAのメンバーから山道に咲く小さき花々の名前の説明を聴き、私たちはメモを取ったり、写真に収めたりしながら、三ツ峠小屋に着きました。庭先のベランダで昼食を食べ荷物をおろし、いよいよ下草刈りにむかいます。小屋で用意されたカマをそれぞれ持ち所定の場所に移動します。

おもにテンニン草の伐採ですが、なかなかこの草がしぶとくしっかり根をはっています。

また、その周辺には、草原に咲く秋の草花もあり注意深く刈り込みをおこないました。

そして、その場所には、大輪のアツモリ草がテンニン草に隠れて咲いていました。思わず手を伸ばしたくなり、いつまでも観ていて見飽きることがありませんでした。下草刈りは、斜面のため足を踏ん張り、又、ぶよ等も多く虫除けスプレーをつけ網をかぶっての作業でした。少しつらかったですが、三ツ峠ネットワークのみなさまとも一緒で楽しく作業が出来ました。一泊いたしましたので、三つ峠小屋のお風呂に入り、汗を流せたことは、最大の作業後のごほうびでした。おいしい夕食をいただき高山植物を愛する仲間の熱き想いを伺いました。夜中激しい雨音で一時目覚めましたが、すぐ眠りに入りました。翌朝も下草刈りの予定でしたが、雨が激しく、山頂周辺の植物観察に変更されました。ダイナミックなアツモリ草とは別に、かれんなカモメランの群生も植物観察山行でなければ、見逃してしまうかもしれませんでした。

小屋でのおにぎりを、まだ残雪がある富士山を見ながら河口湖湖畔でいただき、2日間の楽しい山行でした。皆様もぜひ、来年は出かけてみてはいかがですか。


「ゴミ持ち帰りキャンペーン」を実施

三ツ峠観察山行(作業体験)に併せて、6月15 日登山口において、「ゴミ持ち帰りキャンペーン」を実施した。観察山行の集合時間が10時30分の予定だった為、2時間前に到着すると、会話を遮られるほどのカエルの鳴き声が山を覆っていた。

山行参加者の集合を待ちながら、ポツリポツリとやって来る登山者にティシュペーパーを渡しゴミの持ち帰りをお願いする。

10時頃には登山スクールのバスが到着。若者が多い中、年配者の姿もあり、笑顔でティシュペーパーを受け取ってくれた。短時間ではあったが300 個程のティシュペーパーを配付することが出来、キャンペーン終了後は、山行参加者とともに、山頂を目指した。(小田切澄子)


フォトコンテスト 入賞作品(全10点)

最優秀賞作品「ヤナギラン」海野淑子(東京都府中市)は、ページトップに掲載させていただきました。

ワタスゲ群落
優秀賞 「ワタスゲ群落」
村野 長市(千葉県野田市)
エゾオヤマリンドウ
優秀賞 「エゾオヤマリンドウ」
村上 浩二(青森県青森市)
セツブンソウ
入選 「セツブンソウ」
大平 昭善(東京都府中市)
霧の岩場に咲くタカネビランジ
入選 「霧の岩場に咲くタカネビランジ」
鈴木 文夫(静岡県富士市)
サンカヨウ
入選 「サンカヨウ」
高橋 英子(東京都太田区)
シナノコザクラ
入選 「シナノコザクラ」
鈴木 文夫(静岡県富士市)
カモメラン
入選 「カモメラン」
中山 厚志(長野県佐久市)
スルガジョウロウホトトギス
入選 「スルガジョウロウホトトギス」
大内 京子(千葉県我孫子市)
アツモリソウ
入選 「アツモリソウ」
小林 和子(東京都昭島市)
 

高山植物一口メモ コアツモリソウ(らん科)

コアツモリソウ(らん科)

コアツモリソウは高さ10cm ?15cm 位、葉が茎の頂に2 枚対生状につき、5月初旬から6月初旬葉の間から上に出た花茎は、葉の下へ垂れ下がったように伸び、先端に1 個2cm 位のアツモリソウに似た袋状の花をつける。淡黄緑色に紅紫の条斑が入った花は、葉の陰で地面を向いて咲くのでまったく気付かず見過してしまいます。受粉すると花茎は直立し葉の上に出て種子が実るので初めて気付きます。
山地のわずかに光が差込む杉林などに自生しています。林床に他の草が繁らない場所が目安です。腰を低く落とし視線を下げて見て歩かないと観察できません。(文と写真 佐野璋司)


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