JAFPA NEWS(会報)

JAFPA NEWS Vol.81

コマクサ
平成27年度フォトコンテスト最優秀賞「コマクサ」 真鍋好煕(大阪府堺市堺区)

平成28年度理事会・通常総会を開催

会長 白籏 史朗
 理事会・通常総会も今年で28年、いろいろ紆余曲折がありましたが、皆様方のご協力により無事続けてくることが出来ました。私も歳をとり山へ登るのも大変になりましたが、もうひと踏ん張りしたいと考えています。当会の活動が日本中に広がっていき高山植物を守っていけたらと思います。皆様方の益々のお力添えを頂きたいと思います。
 

南アルプスユネスコエコパーク緩衝地域「甘利山の自然」保護活動について

NPO法人甘利山倶楽部理事 守屋 喜彦

甘利山のミヤコザサ刈り

 昭和初期(一九三〇年頃)の甘利山にはスズランが咲き当時のサンニチ新聞記事には二〇〇人もの登山者があったとの掲載がある。また昭和五年頃は甘利山の観光開発が盛んで山梨県下で初めてのスキー大会も開催された。先般ノーベル医学生理学賞を受賞された韮崎市出身の大村智博士もこのスキー大会で優勝されたのである。その後先人の努力によりレンゲツツジの咲き誇る山となり韮崎市では平成十八年まで二十八年間「甘利山レンゲツツジまつり及びモデル撮影会」が開催されてきた。その後この祭りは道路狭隘と観光客増加により安全確保の為中止され、通年での観光及び登山客誘致に代わったが、この間平成十一年秋にはレンゲツツジや草原の高山植物がミヤコザサに覆われ激減していることに心を痛めた甘利山を愛する有志での草刈り活動がスタートし、平成十三年には「任意団体甘利山倶楽部」として各種の定例活動を行う様になった。また、平成十六年六月のレンゲツツジは開花時の遅霜とヒョウモンエダシャクの異常大量発生による開花減少があり、種蒔きから始めてのツツジ苗の移植や野鳥繁殖の為の巣箱掛けなどにも倶楽部員達の努力が続いている。

草原管理が植物に与える影響

 平成十六年の遅霜や害虫大量発生の時期、韮崎市議会・山梨県森林総合研究所・峡北林務事務所・ 韮崎市観光課・農林課の諸氏によるレンゲツツジ視察が行われた。このあと森林総研とタイアップしたレンゲツツジの育成試験が始まった。この頃山梨県森林総合研究所久保満佐子研究員(現在島根大学准教授)には甘利山の草原管理が植物に与える影響についての調査をお願いし、平成十七年から平成二十五年までの長期間に亘り、調査を担当して戴いた。
これは甘利山に植生管理区を設けての開花調査である。この調査には甘利山倶楽部員達も久保研究員の指導と指示を受け乍ら調査に協力してきた。その結果、①草刈り時期は開花数が減少する十月以降が良いこと。②草の刈り放し、刈った草の持ち出し、刈った後の掻き起しなどによる開花状況調査結果としては、草刈りをした方が良く、しかも刈った草を外へ持ち出した方が良いことが判り、以後甘利山倶楽部での草刈はこの方法に変更した。

日本鹿の出没とその被害対策

 経年的にみると甘利山に咲く草花の開花数が減少傾向となっており、気候の変化によるものなのか 或いは日本鹿の増加の影響も考えられるようになった。平成二十一年八月には森林総合研究所と甘利山倶楽部共同での鹿害調査を行い、その秋より試験的な鹿柵設置を定例事業として開始した。今日では山梨県の助成金により甘利山全体に十五か所の鹿柵を設けてきたが、そのメンテナンスには倶楽部員達が関わっている。平成二十五年になって韮崎市より森林総合研究所大津千晶研究員に依頼して日本鹿の影響を含めた草花の開花減少要因推測と対策の提案をお願いし平成二十六年から平成二十八年の三年間の調査が行われ大津研究員の調査結果と結論は次の通りであった(十台の自動撮影カメラを設置した鹿の撮影は平成二十六年六月から丸一年間だけ行われた)。①日本鹿は森林を好み、ほぼ一年中甘利山に生息しており、草 原を特に利用するのは夏の夜間が多い。②人間が頻繁に出現する場所は避けて行動し、草刈りなどによって草丈が低くなり開花する広葉草木が増えたところに集まってくる。そこで、『草原の開花や多様性を維持するためには、継続的な草刈は必要であるが、草原裸地化進行防止の為には草刈り頻度を検討し、草刈りによって草丈が低くなり多様な種が生育する場所は日本鹿が集まって来るので草刈りを実施した場所には、鹿対策をする必要があるとのことである。』
甘利山倶楽部では平成二十八年度からは、甘利山に住む日本鹿の生息数の調査を森林総合研究所と協同して実施している。

韮崎市民のボランティアによる甘利山草刈り大作戦

 甘利山倶楽部によるレンゲツツジ保護活動の努力と成果は韮崎市でも認められ、平成二十年十一月 「第一回甘利山クリーン大作戦」なる秋の草刈りが韮崎市が主催して開催された。これには市内各地域か ら約三百人の草刈り隊がボランティアで参加、甘利山山頂一帯に全参加者を配置しての草刈が当日の午前中一杯をかけて開催された。
若かりし頃甘利山に登って来て「すずらん」や「レンゲツツジ」の思い出を持つ往年の市民も多く鎌を使っての草刈りは大変では有ったようだが、参加して良かったとの声が多く聞かれた。この草刈り大作戦は、その後も毎年秋口に継続して実施され昨平成二十七年は快晴の十月三十一日午前九時約三百名の韮崎市民が、市役所が用意したバスや自家用車で現地集合して「第八回甘利山クリーン大作戦」が行われた。折しもこの間、平成二十六年六月十二日には、この地域は南アルプスユネスコエコパークに登録され、甘利山はこのエコパークの緩衝地域に当たる為、韮崎市民の甘利山への保護活動も一層高まっていくものと思われる。

若い世代に引き継いでいくために

 NPO 法人甘利山倶楽部の今後の大きな課題は、甘利山の自然を日本鹿の食害から守り初夏に咲き誇るレンゲツツジの群落、そして甘利山に咲く数百種類の亜高山帯の開花植物を保護育成するためには、現在試験的に行っている十五か所の鹿柵を越えて、植生が豊富な山頂一帯を覆うような大きな規模の鹿柵の設置を考えていく必要があると思われる。これは大きな課題ではあるが倶楽部員としても先進の保護柵設置地域の視察などしながら研究を続け、韮崎市にも理解と協力をお願いしたいと考える。現在も甘利山は非常にアクセスに恵まれた山として、年間の観光客登山客は絶えない。また、韮崎市内の小中高等学校の生徒の皆さんにも自然を学ぶ生きた学習教材としても利用されている。甘利山を訪れた子供達が大人になって、またその子供達を連れて甘利山に来てくれることを願いながら倶楽部員達は日々の活動を続けている。
 

平成27年度フォトコンテスト入賞作品

ミヤマオダマキ
優秀賞「ミヤマオダマキ」
深井幾蔵(埼玉県蕨市)
コバイケイソウ
入選「コバイケイソウ」
鈴木文夫(静岡県富士市)
ミヤマキリシマツツジ
入選「ミヤマキリシマツツジ」
大内京子(千葉県我孫子市)
シロバナツリフネソウ
入選「シロバナツリフネソウ」
大平昭善(東京都府中市)
コオニユリ
入選「コオニユリ」
真鍋好煕(大阪府堺市堺区)

高山植物一口メモ チングルマ(ばら科)

チングルマ(ばら科)

本州中部以北の、高山帯の日当りの良い所にはえる小形の常緑低木で、高さは10cm、幹は細く地上を這い、先端が直立して深緑色で光沢のある葉を密生する。夏に径2~3cmの白色の五弁花を平開、花後多数のそう果 がのびて、わずかに紅紫色を帯びた様子は、オキナグサの果実を彷彿させる。
和名は、チゴグルマから転化したもので、ちごは、花が小さく可憐であるためで、くるまは、五弁花が輪形に配列しているから。一説にオキナグサに似た果実が放射状に、四方に出ている様子を子供の玩具の風車にみたてたとも。
夏山に広がる、白い花のカーペット、初秋には、露をたっぷり含んだ、風車が朝日にきらめく様は、何よりも美しいと思うが、なんといっても極付きは、晩秋の真紅の紅葉で、遠くに初冠雪の山々を望めれば申し分ない。


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