JAFPA NEWS(会報)
JAFPA NEWS Vol.83

JAFPA 活性化のために
私自身が山小屋生活60年を迎えます。振り返ると、趣味と生活を兼ねた年月は良き時代であり、良き人生でありました。山小屋の管理をするうえで、自然保護や安全登山の呼び掛けはもとより、現代でいうところの「おもてなし」の原点である「感謝と奉仕」の理念は不可欠であり、その中で出会えた当協会会長の白簱さんや色々な方々との出会い、つながりは貴重な財産となっております。
1989年6月に会が発足された当時、富山県からは天狗平山荘の今は亡き佐伯守氏と私が理事として参加させていただき、今日まで高山植物の保護やひいては自然保護について各地の情報収集を含めて勉強させていただき、自分なりに取り組んでまいりました。
しかしながら登山道もはっきりしなかった樹林帯が現在の整備された状態に至るまで、登山者にとって良くなると高山植物の領域を破壊してしまうという現実に、日々頭を悩ませております。また登山者の増加に伴い、山野草や高山蝶の売買に対するパトロールの強化が切実となり、昭和53年に立山黒部環境保全協会が設立され、当初より薬師岳・奥黒部支部長として、また翌年には薬師岳・雲ノ平国有林保護管理協議会を設立し、現在も活動を続けております。
とはいえ、登山用具の発展に伴い普及してきているストックの正しい使用法やマナーの呼び掛け、ペットの持ち込み禁止、植物の外来種除去活動、そして訪日観光客に対する対応など問題も多様化してきているため、個々での対応というものが難しくなってきているのが現状です。
ですから、官民一体となって対策を練っていくことが大事なのではないでしょうか。その為には環境省、林野庁との情報交換を地道にやっていくことが当協会の決議につながるのではないかと常々思っております。
さて決して大きいわけではなく、主張が強いわけではない、小さくて可憐な高山植物は大自然の限られた場所でしか生息できませんが、多くの登山者の心を癒し引き付ける魅力があります。みんなで守っていくに価すると信じてやみません。今後ともこの活動に喜びをもって携わっていきたいと思っております。
山梨県におけるニホンジカの管理対策について
農林業被害の状況
シカによる造林木の枝葉食害や樹幹部の剥皮害及び野菜や果樹、水稲の食害などの農林業被害は、 平成27年度は前年度より増加し、364百万円となっています。
農林業ともに従事者の高齢化に加え、担い手の減少等が続く中で、手入れの行き届かない耕作放棄地や荒廃林が増加し、シカが出没しやすい環境となっています。
シカ等の野生動物による農林業被害は、こうした農林業や中山間地域社会の抱える様々な問題を背景にして顕在化していると考えられます。
モニタリングによる評価
科学的な知見に基づく適切な管理を行うため、本県では、生息状況に係るモニタリングを実施しています。
本県におけるシカの推定生息数については、平成26年度まで、区画法による生息密度調査及び糞塊密度調査の結果と出猟カレンダーによる目撃率をもとに、これらのデータの相関により推定を行ってきました。
しかし、国において、平成26年度に科学的・計画的なシカの管理を推進するため、従来の生息密度指標に捕獲数を加え、それらの時間的変化も考慮する推定手法(階層ベイズ法)による推定を行い、その結果を平成27年4月に公表しました。これによると、本県の平成24年度末の推定生息数は、69,917頭となり、従来の本県の推定の約1.8倍となりました。
階層ベイズ法は、従来法と異なり、観測データに既知の生態情報も加えた合理的な生息数が推定され、また、国の調査と整合を図る必要があることから、本県においても、平成27年度から同手法による生息数の推定を行うこととしました。
その結果、推定生息数は、平成26年度末で、77,354頭、平成27年度末で71,146頭となっ ており、近年の捕獲圧強化等による一定の成果が現れています。
捕獲従事者の確保・育成
捕獲の担い手となる狩猟者は、減少傾向にあり、その年齢構成も60歳以上の割合が、近年では6割以上と高水準となっております。
計画的な捕獲を推進するため、新規狩猟者の確保と管理捕獲従事者の育成が重要な課題となっています。
本県では、新規狩猟者の確保対策として、狩猟の魅力を知ってもらうためのシンポジウムの開催を始め、狩猟免許の取得に必要なセミナーの受講料や、銃砲所持に必要な射撃教習の受講料に対し助成を行うことにより、新規狩猟免許取得者の経済的負担を軽減しております。
また、狩猟免許試験についても、これまで8月と1月に3日間実施しておりましたが、農閑期の受験日を増やして欲しいとの要望を受け、平成28年度から1月の試験日を1日増やして、合計で4日間実施することとしました。
管理捕獲従事者の育成については、実践的な捕獲技術の習得のための研修の実施に加え、県猟友会青年部の広域的な管理捕獲への支援や、新規わな猟免許取得者が熟練者の指導を受けながら捕獲を行う事業の実施などにより、地域における管理捕獲の中核となる人材を育成することとしております。
平成29年度からは、新たな取り組みとして、県猟友会が実施する狩猟免許取得希望者等を対象とした銃やわなによる狩猟の現場見学、解体実習などの体験事業への助成を行うこととしております。
こうした取り組みにより、狩猟に興味を持つ若者などに対する狩猟免許の取得前から管理捕獲の従事まで一貫した支援を通じて担い手の確保・育成を図ります。
最後に
平成35年度までの半減化目標の達成のため、県などが行うシカの管理対策について、引き続き御理解と御協力をお願いします。
平成29年度 通常総会の開催
平成29年度通常総会を下記日程で開催いたします。
日時 | 平成29年6月3日(土)午後1時30分から |
受付時間 | 午後1時から |
会場 | 都市センターホテル(地下鉄 永田町駅9番出口から徒歩3分) 東京都千代田区平河町2丁目4-1 TEL 03-3265-8211 |
日程 | 1.総会 平成28年度事業報告・収支決算報告 平成29年度事業計画・収支予算案 定款の一部改正について 役員の一部改選について その他 2.フォトコンテスト表彰式 3.記念講演 演題 「日本百名山と父深田久弥」 講師 深田森太郎 氏(深田久弥 氏長男) |
問合せ先 | 〒400-0027 甲府市富士見一丁目3-28 NPO法人 日本高山植物保護協会事務局 TEL&FAX 055-251-6180 E-mail:info@(アットマーク)jafpa.gr.jp |
※ 理事会は、午前10時から同会場で開催します。
平成29年度 高山植物観察山行実施要領
今年度の観察山行は秋田駒ケ岳を計画しました。秋田駒ケ岳(1637.4)は男女岳(おなめだけ)、男岳(おだけ)の総称です。十和田湖八幡平国立公園南端で高山植物が豊富で、ニッコウキスゲ、タカネスミレ、コマクサ、チングルマ、エゾツツジ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ミヤマキンバイ等の花々が観察でき、山頂より鳥海山、岩手山の勇姿と田沢湖も望め私たちの目を楽しませてくれると思います。多数の会員皆様のご参加をお待ちしております。
日時 | 平成29年7月9日(日)~7月11日(火) |
観察場所 | 十和田湖八幡平国立公園秋田駒ケ岳 |
宿泊場所 | 秋田県仙北市田沢湖駒ケ岳2-1 休暇村乳頭温泉郷 TEL 0187-46-2244 |
参加費 | 当協会会員 26,500 円(宿泊費、昼食代、バス代、保険料、写真代、事務経費等) 尚、甲府駅よりバスを用意します。 JR甲府駅からのバス利用者は別途20,500円負担して頂きます。 JR盛岡駅からのバス利用者は別途2,000円負担して頂きます。 |
集合場所 | 休暇村乳頭温泉郷 |
集合時間 | 7月9日(日)午後3時30分 但し、JR甲府駅からのバス利用者は、甲府駅北口 午前5時00分 JR盛岡駅からのバス利用者は、盛岡駅前 午後2時00分 |
募集人員 | 20 人 |
募集締切 | 平成29年5月25日(木)期日前でも定員になりましたら締めきります。 参加の可否については、6月1日(木)までに連絡します。 |
日程 | 9日 田沢湖高原散策 10日 宿泊所〜八合目〜片倉展望台〜男岳〜分岐〜秋田駒ケ岳〜阿弥陀小屋〜横岳〜焼森〜 八合目 普通歩行時間 約4時間30分(休憩時間含まず) 11 日 集合場所にて解散 甲府駅からのバス利用者は甲府駅着18時30分頃 尚 天候などの状況によりコースの変更もあります。 |
携行品 | 一般的な服装で、雨具、防寒具、非常食、懐中電灯等持参のこと。7月9日の昼食は各自持参してください。 |
申し込み・問合せ | E-mail、FAX、官製ハガキに下記事項を記載して、申込期限迄にお申込みください。 (1)住所、氏名、年齢、電話番号(携帯電話番号)、会員番号 (2)登山経験、健康状態、その他特記事項 〒400-0027 山梨県甲府市富士見1丁目3-28 NPO法人 日本高山植物保護協会 TEL&FAX 055-251-6180 E-mail:info@(アットマーク)jafpa.gr.jp |
山や丘に咲く花(山梨県甲府市 井川 隆)
![]() チングルマ
落葉小低木、大きな群落をつくることも多く花はクリーム色で1個つきます。 |
![]() コマクサ
高山植物の女王、花は紅紫色で馬の鼻面を思わせる形をしています。 |
![]() ハクサンシャジン
ツリガネニンジンの高山型。青紫色の花は茎の上部に2~3段輪生する。 |
![]() イワブクロ
高さ5~20センチ、花は紅紫色、花やガクは白くて長い毛が目立つ。 |
![]() キンコウカ
鮮やかな黄色の花が咲くことからこの名がある。星形の花を総状に10~20個つける。 |
![]() ハクサンチドリ
茎の上部に紅紫色の花がかたまって10個前後つき、花弁の先が鋭くとがる。 |
高山植物一口メモ チシマフウロ(千島風露)ふうろそう科

高山帯の草地に群生する多年草、草丈は、20cm から50cm、花期は6月から8月、分布はシベリヤ東部から北米大陸北部、千島、北海道、および本州北部の早池峰山と広い。和名は、千島に因んで、命名されたという。
花色は、紅紫色で、直径3cm位、花色が特に淡いものは、トカチフウロ、白花は、シロバナノチシマフウロと呼ばれる。
チシマフウロは、特に、がく片が被針形で、長さ1mm位のとがった先端部が長い毛でおおわ れているのと、花弁が、がく片の2 倍の長さで、おしべの下部は、密に毛におおわれていることにより、朝露が降りた時、霧に、つつまれた時は、とりわけ美しい。
今年は、フウロソウを尋ねる旅も、いいなと思っている。(写真と文 大内京子)
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